文庫屋「大関」の藤田です
文庫革製作でなくてはならない、そして製作工程は門外不出としている「錆入れ」
よく「錆入れ」と聞くけど、いったい何なのかしら…?とお思いの方もいらっしゃるかもしれません
錆入れとは…
型押しと彩色をした革に、
◆漆を塗り、
◆型押しの凹の溝部分に、真菰という植物の茶色い粉を定着させて、輪郭線や風合いを加える製作工程のことです。
漆が接着剤の働きをして真菰の粉を革に定着させているわけです
▼錆入れ前
▼錆入れ後
(錆を入れていない白革部分も、錆入れ前と錆入れ後は少し柔らかい黄色味がかった白に変わっていますね、そして彩色部分も錆入れによって落ち着いた色味に変化しているのが分かります)
湿度が高くなってくるこの時期は、錆入れにはいつも以上に気を使っています♨♨
というのも、漆には、湿気が高いほうが乾きやすいという面白い特性があり(6-70%の湿気が一番乾きやすいそうです)、
それゆえ、湿度が高くなってくるこの時期は、錆入れも普段以上に時間勝負⏰
錆入れによって白革に真菰の茶色い線が入り、一瞬にして革に模様が浮き上がってくる様子は、見るたびに感動します
淡々と、一枚一枚に手を抜かず仕上げていく職人の様子はかっこいい…!
ちなみに錆入れの工程は、彩色職人たちが受け持っている仕事のため、彩色職人は午前は錆入れ作業、午後は彩色作業という二刀流✨
錆入れは、その日の温度や湿度で定着度合いが違うのも特徴です、文庫革ひとつひとつに微妙な錆入れの違いがあり、同じものはありません
ぜひ文庫革をすでにお持ちでしたら、ご自身の文庫革の錆入れ具合も愛でていただけたらとてもうれしく思います😊
蒔絵、津軽塗、輪島塗などの漆器、印伝など、日本の伝統工芸ではよく漆が使われます。
他の漆を扱う伝統工芸の方たちも、梅雨時期には漆の取り扱いのご苦労や、工夫などあるのかもしれません!機会があればいろいろお話伺ってみたいものです🍵
というわけで、今日も職人たちは忍者のように素早く錆入れ作業にいそしんでおります!
最近の工房の様子でした✋